ミュージカル MIRACLE

辻仁成原作の小説をミュージカル化

少年アルはひとり空を見上げ、まだ見たこともない雪が降るのを待っていました。「雪が降れば、ママは帰ってくる」とアルの父、シドから聞かされていたからです。
シドはかつて、あるジャズクラブの有名なピアニストでしたが、今では酒に溺れ、アルを連れて旅を続けながら各地で演奏をしていました。まるで、雪が降らない町を探すかのうに、南へ南へと……。
とある南の町に着いた二人。シドは新しいピアノ弾きの仕事を紹介してもらうため、昔のバンド仲間とピアノ・バーに出かけ、シンガーのミナと出会いました。ミナは、シドが昔弾いていたという曲「ミラクル」を歌おうとするのですが、シドはミナからその譜面を奪い取り、破り捨ててしまうのでした。
一方、アルは一人で新しいアパートへ向かいました。「アル!」地図を見ながらアパートへ向かうアルを呼び止める声がしました。アルの名前を呼んだよは、見知らぬ二人の男たちでした。アルのことなら何でも知っているという二人は、ダダとエラソーニという幽霊だというのです。しかも、アルにしか見えない……。ダダとエラソーニはアルと友だちになって、アルが探しているモノを一緒に探したいと言います。アルが探しているモノ、それは”ママ”……。
探しても探してもママが見つからないアルの前に、キキという女の子が話しかけてきました。「君のママはもう死んじゃっているわ」と。パパが嘘をつくわけないと信じているアルはキキに言いました。「雪が降れば分かるんだ」
雪の降ったことのない南の町に雪は降るのでしょうか。そしてアルはママに会えるのでしょうか……。

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